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足の悩みと木型設計

  • 執筆者の写真: Blue Whale
    Blue Whale
  • 11月24日
  • 読了時間: 3分

はじめましてのブログ


靴や革について知りたい場合は専門的な方の発信を手軽に見ることの出来る現状、僕の立場で何を書こうか悩みましたが、折角なので靴作りを始めたきっかけや経験、作品へのこだわりなんかを少しずつ紹介していこうかなと思います。



まずは、当ブランドで使用しているベースの木型、元型が出来るまでのお話から。



そもそも靴を作るに至ったきっかけとなるのは、自身のあまりに細すぎる足。

これが本当にやっかいで、どんなに探しても足に合う靴を見つけることが出来ずにいました。


足の幅はウィズ(足囲)という指標で測られるわけですが、実は目安となる値がJIS規格で定められていたりします。

平均とされるEウィズを中心に、幅広くなる場合は、2E、3E…と頭に付く数字が大きくなり、狭くなるにつれ、D、Cとアルファベット順が若くなっていくという、一貫性が無くなんとも分かりにくいあれですね。


そして僕の足はというとBウィズかそれ以下の足囲しかありませんでした。

既製品はおろかパターンオーダーでさえ、そんな規格の靴を目にすることは珍しく、インソールで強引に調整するような状態が続きました。

しかし、いくら頑張って調整しようとも、元の木型設計がまるで足に合っていない以上はどうしても問題が発生してしまうもの。であれば、自分の足に合わせて自分で作ってしまおうと靴作りを学び始めることに。



これといった知識のない状態から、いろいろと苦戦しつつも足に合う木型作成を進めていくうちに、自分の足の特異性を強く思い知らされることとなります。


1,細すぎる足

これまで触れてきた通りとにかく細く狭い。とはいえ、ただ細いだけならそれに合わせて木型を絞ればいい訳ですが、そうもいかない新たな問題点が発覚するのです。


2,長すぎる指

足長自体は26.0cm近くあるにもかかわらず、フィッティングの要である踵からボールガウス(指の付け根)までの距離は24.0cm相当の足と同程度しかなく、この約2cmがゆえ歩くたびに靴の中で指同士が激しく干渉し、足も心も涙を流す原因となっていました。

かといって、足長に合わせてはブカブカになってしまうし、ただ指周りを伸ばすだけではメリハリがなく不格好な靴が出来上がってしまう。

この課題はなかなか難しく、理想的な形できちんと解決できたのは約3年ほど前と割と最近だったりします。


3,激しすぎる回内

昔から小指が圧迫され痛むことに悩んでいたのですが、回内と呼ばれる内踝が本来の位置より下に落ち、正常なアーチを維持できていない状態に起因することを知ります。

まずシンプルに思いつく底面を持ち上げ骨を正常な位置まで戻す方法を試みますが、一筋縄ではいかずかえって足を痛めてしまったりもしました。

実際の木型や、専門の方の意見を参考にしつつ試行錯誤を繰り返すうちに、アーチサポートの適切な位置や形状、また靴全体で圧力を分散するための曲面構造などを見出すことができ、いまでは長時間着用しても疲れにくい靴を履く夢を叶えられています。



これらの問題を自分の足と向き合いながら少しずつ改善し続け形になったのが、現在MTO等で用いている元型になります。

意外にも、この風変わりな足を労わるため作り上げた木型は、一般的な足の特性を持った方にもかなり履きやすいらしく、見た目は変われど足の本質的な機能には大差ないのだなと改めて実感できた面白い経験となりました。



次回は、自分と同じような悩みを抱え、靴選びに苦労している方々に向けて取り組んでいる"MTO"についてより細かく紹介をしていこうと思います。





Blue Whale|ブルーホエール

 
 
 

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